ATLASネットワークとは?
ATLASネットワークの国々
国立がん研究センター中央病院はこれまで欧米や、韓国、台湾、シンガポール、中国(香港)と良好な関係を築いてきました。今回、アジアにおける抗がん薬開発に関する共通の課題を解決するため、タイ、マレーシア、ベトナム、フィリピン、インドネシアの5か国にも、そのネットワークを拡げることになりました。これら新たに参加した国々をATLAS参加国と呼んでいます。
※ATLAS:Asian Clinical Trials Network for Cancers
治験データの質の向上への取り組み
ATLASに参加する医療機関ではいずれも積極的に治験が行われていますが、さらにその基盤を強化するために、国立がん研究センター中央病院より設備購入を通じたインフラ整備を行い、さらに現地スタッフに対しても最新の治験に対応できるようなトレーニングに関するサポートを提供しています。特にトレーニングに関しては、オンライン教育コンテンツである「ICRweb」を英語化して無料提供し、あわせて日本での定期的な実地研修も企画しています。これによって、各国で行われる治験において薬事承認に耐えうる高品質なデータの構築を実現します。
さらに、タイのバンコクに国立がん研究センター初の海外事務所となるアジア連携推進事務所(Asia Partnership Office)を設置し、国立がん研究センター中央病院の職員を駐在させます。アジア連携推進事務所を拠点として、関係各国および当院との緊密なコミュニケーションを取っていきます。
KOLとのコンタクト
ATLASプロジェクトでは各国の臨床試験を牽引している医師や研究者との連携を重視しています。
各国のKey Opinion Leader(KOL)と定期的にミーティングを行うとともに、様々な学術的シンポジウム、教育セミナー等を通じて交流を深め、アジアの医薬品開発に必要な「人のネットワーク」を構築していきます。さらに若手研究者の研修を国立がん研究センター中央病院で受け入れることで将来に向けたネットワークの構築にも尽力していきます。
規制当局との協調
国立がん研究センター中央病院では、アジア各国とのシンポジウムやワークショップを開催し、アジア各国との規制調和への取り組みに協力いたします。また、日本の薬事規制当局である医薬品医療機器総合機構(PMDA)と共催で国際共同試験セミナーを開催し、ここには製薬企業や海外規制当局、海外医療機関からも参画いただきます。国際共同の治験や教育活動を産官学で連携することで、アジアの抗がん薬の開発を推進していきます。
社会貢献
ATLAS参加国および韓国、台湾、シンガポール、中国など関係各国と協調し、アジアでニーズがあるが、いまだに開発に至っていない治療薬の開発を促進します。そして、アジアの皆さんが健康で明るい生活を送れるよう取り組んでまいります。
