患者・医療者の皆様へ
なぜMASTER KEY ASIAプロジェクトを行うのか?
- Qなぜ希少がん患者では病理検査が重要なの?
- A希少がんは患者さんの数が少なく、それゆえに診断が難しいことが多々あります。診断が違えば、適切な治療法を行うことができないため、正確な病理診断が肝要です。
- Qなぜ病理検査を日本で再度行うの?
- A上記の通り希少がんの診断は簡単ではありません。国立がん研究センター中央病院は希少がんの診療の経験が豊富です。当院で病理検査を行うことで、より正確な診断ができる可能性があります。
- Q病理診断を行ったらそのデータはどうなるの?
- A希少がんの病理所見のデータは、さらに他の検査所見や臨床経過情報と総合し保管します。これにより、データを一元化することが可能となります。これらのデータは、より良い診断方法や治療方法の開発につなげることを目指しています。
なぜ希少がん患者に対する研究をアジアで行うのか?
- Q希少がんとは何ですか?
- A希少がんとは、人口10万人当たり6例未満の稀ながんで、数が少ないがゆえに診療・受療上の課題が他のがん種に比べて大きいがんのことを指します。
出典 : さまざまな希少がんの解説 | 希少がんセンター (ncc.go.jp) - Q希少がんの診断と治療は、日本ではどのようにしているのですか?
- A希少がんの診断と治療は、専門家も少なく診断や治療がいまだ難しい状況です。治療施設の集約化をはかっており、当院では希少がんセンターを設置して、希少がんの患者さんとご家族の方によりよい医療を提供すると共に、知見をまとめ、新たな治療方法の開発を目指しています。
- Qなぜアジア各国と協力すると、希少がんに対する治療方法の開発が進むのですか?
- A国内だけでも多くの患者さんがいる他のがん種とは異なり、希少がんでは臨床試験で薬剤や治療方法の効果をきちんと確認すること自体が困難です。しかし、1つの国では難しくても複数の国との共同研究で、より多くの患者データを集めることができれば、患者数の少なさにより開発が進まないという課題を克服できます。
遺伝子解析について
- Q遺伝子パネル検査とはなんですか?
- A遺伝子パネル検査とは、がんの発生や増殖、転移に関わると考えられている複数のがん遺伝子を一度に調べる検査です。手術や診断のために採取した腫瘍組織と、血液検査を用いて検査を行います。がん遺伝子の変異が見つかった場合、診断をより正確につけることができる可能性や、その変異に対し効果が期待できる治療法や薬剤の情報が得られる可能性があり、がんの診断や治療に役立つと期待されています。
- Q遺伝子パネル検査を受けたら、治療法が見つかりますか?
- A遺伝子パネル検査を受けた場合、必ずしも遺伝子変異が見つかるとは限りません。また、遺伝子変異が見つかったとしても、その遺伝子変異に対して効果が期待できる薬剤がまだ開発されていない、実際の医療で使用できない場合もあります。これまでのところ、遺伝子パネル検査を受けた方の中で、遺伝子変異に基づいた治療にたどり着くことができた方は、約10%と言われています。
- Qどうして今回、遺伝子パネル検査を行うのですか?
- A今回の研究では、希少がんを対象としています。希少がんを対象とした研究はまだ少なく、各希少がんでどのような遺伝子変異が見つかるか、わかっていないことも山ほどあります。また、これまでの研究の多くは欧米を主体に行われているため、アジアに焦点を当てたデータも少ない状況です。よってこの研究では、アジアの希少がんを対象に遺伝子パネル検査を行い各疾患の遺伝子変異のデータを蓄積することで、治療の開発につなげられたらと考えています。