患者・医療者の皆様へ
- Q微小残存病変とは何ですか?
- A根治治療後も患者さんの体内に残っていると想定されるがん細胞のことです。画像検査では検出できません。
- Qリキッドバイオプシーの利点(メリット)は何ですか?
- A低侵襲かつ複数回行うことができるため、病勢が進行した際のがんの情報をリアルタイムで知ることができます。それにより、がんの遺伝子異常に基づいた治療が可能になります。また、本研究のように画像検査では検出することのできない、がんの診断にも有用であり、早期診断や治療後に微小ながんの残存があるかどうかを調べることができます。
- QなぜHER2陽性乳がんを対象としているのですか?
- A乳がんはアジアの中でも罹患率・死亡率が高いがんであり、アジアにおける乳がん患者さんの予後改善は重要な課題であると考えられます。特にHER2陽性乳がんは乳がんの中でも予後不良なタイプです。しかし、HER2陽性乳がんを対象としたリキッドバイオプシーの報告は限られています。
その一方でHER2陽性乳がんは乳がんの中ではctDNAが検出されやすいという特徴をもっています。本試験ではこの特徴を利用して高感度な微小残存病変の検出を目指したいと考えております。 - Qなぜ日本国内だけではなく、アジアの乳がん患者さんを対象としているのですか?
- A多くの臨床試験は欧米の患者さんを対象としており、アジアの乳がん患者さんに関するデータは十分ではありません。アジアの乳がん患者さんの特徴に応じた治療の開発を行うにはまず、アジアの乳がん患者さんのデータを集めることが重要であると考えられます。
- Q個別化医療が可能になると何が良いのですか?
- A同じHER2陽性乳がんであってもがんのプロファイルはヒトによって異なります。各患者さんの遺伝子情報に基づいた医療を行うことで治療が必要な人に効果の高い治療を提供し、治療が不要な人には補助療法を省略するということが可能になると考えられます。