Psycho-Oncology
診療について
がん罹患に伴うストレスに対する心のケア(精神腫瘍学)
がん医療においては、外科治療、化学療法、放射線治療などのがんそのものに対する治療が重要ですが、生活の質を保ちながら普通に毎日を過ごすためには、苦痛な症状を和らげることも必要です。がんに伴う苦痛な症状には、疼痛などの体の苦痛と、気持ちの落ち込み(うつ)や、不安感などの心の苦痛があります。さらに、病状が進行や、手術後の身体状態の変化に伴い、脳機能が低下して「せん妄」という精神症状が生じることも少なくありません。
気持ちの落ち込みや不安感、せん妄などの症状は、それ自体がつらい症状であるのみならず、全体的な生活の質の低下や、がん治療を受ける意欲をなくしてしまうこととも深く関係するため、適切な心のケアを受けられることをお勧めいたします。
当科は、がん専門病院に併設される心のケアを行う診療科として、全国に先駆けて1992年に開設され、一貫して患者さんとそのご家族の方々の心のケアに取り組んでまいりました。心のケアを含めた緩和ケアの重要性が高まる中、精神腫瘍科を受診されるがん患者さんおよびそのご家族は増加する傾向にあり、最近では年間約2,000名となっています。
また、患者さんご本人だけでなく、ご家族も同じように大きなストレスを抱えていらっしゃいます。当科では、がん患者さんのご家族、またはがんで患者さんを亡くしたご遺族を対象として、十分なカウンセリングを提供することを目的とした専門外来である「家族・遺族ケア外来」も開設しております。